ニュースリリース
最新ニュースリリース
2021.10.20
2021年度しなやかエンジニア教育プログラム 『パーソナルカラー』の講義を実施しました
2021.10.12
2021年度しなやかエンジニア教育プログラム 『化粧品の官能評価と感性価値の見える化』の講義を実施しました
2021.07.09
2021年度しなやかエンジニア教育プログラム 『ワコールにおける人間科学的視点を生かしたものづくり』の講義を実施しました
2021.06.28
2021年度しなやかエンジニア教育プログラム 『アンガーマネジメント』の講義を実施しました
2021.06.18
2021年度しなやかエンジニア教育プログラム 『漆と工業はどう関わることができるのか?』の講義を実施しました
「第2回女性エンジニアの養成を考えるシンポジウム」を開催しました
2020.03.02
2020年2月22日(土)に「感性を磨く技術者教育とは」をテーマに「第2回 女性エンジニアの養成を考えるシンポジウム」を奈良女子大学の後援を頂き実施しました。 当日は、全国の高専教員や学校教員、各種機関など、約50名の方に出席頂きました。
冒頭、本校 後藤校長より開会の挨拶があり、引き続いて講演1として、函館工業高等専門学校一般系教授の下郡啓夫氏より「今、なぜエンジニアにとってArts教育なのか?」をテーマにご講演をいただきました。講演では、消費者の隠れた潜在的欲求を読み取ることでヒット商品が生まれている実例を挙げられ、正しい共感と問題定義を掴むことができる思考は、技術者の商品開発に必要な要素だと示されました。また、STEM(S:科学、T:技術、E:工学、M:数学)教育にArtsを加えたSTEAM教育がエンジニアにとって必要である理由として、生徒の思考能力を豊かにする芸術の教育は、自己肯定感を高め、アイディア創生の力を育み、課題解決の力を養うと説かれました。

下郡哲夫氏の講演の様子
次に講演2として奈良女子大学学長の今岡春樹氏より「女子大学での工学そしてArts」という演題でご講演をいただきました。女子大学で初めての工学部設置に尽力する今岡氏からは、工学を学んだご自身の学生時代の逸話や、工学とは発明型であり、今までになかった世界を創る学問であることや、リベラルアーツ教育の重要性などが語られました。また、現在の日本は、工学部での女子学生の比率がOECD(先進国が加盟する国際機関)で最下位であることや、工学での女性比率に10%のガラスの天井が存在していることを示され、奈良高専などのあらゆる機関と連携し女子学生の工学教育に力を注いでいくと述べられました。そして、新たに設置する工学部では、世の中を変える意欲を持つ学生を歓迎し、できる限りのチャンスを与えたい、との思いが語られました。

今岡春樹氏の講演の様子
次に講演3として本校の顯谷智也子特命教授より「しなやかエンジニア教育プログラムによる感性と表現力の養成」という演題で講演が行われました。全国に数多くある高専の中のひとつである奈良高専の特色や、2019年度から始動した『しなやかエンジニア教育プログラム』の教育内容、育成していく人材の具体像が語られました。また、2030年に59万の人材が不足すると予測されるIT産業を例に、時代にふさわしい実践的な女性エンジニアや女性管理職を輩出することは喫緊な課題であると示されました。続いてこのプログラムを1年間受講した電気工学科1年福王彩音さん、情報工学科1年山口璃桜さん、情報工学科1年井原実咲さんの3名から、印象に残った講義内容や、苦手が克服できたこと、ものづくりの大変さ、人との接点から得られたことなどの気付きの発表が行われました。
最後に当該プログラムについての様々なアンケート結果と今後のプログラムの方向性が示されました。

顯谷智也子氏の講演の様子

発表する学生
本シンポジウムの締めくくりには講演講師をパネラーに迎え、ファシリテータの本校教授の藤田直幸氏からパネリストへ、芸術教育の意義、STEAM教育とアート教育、学生の発表内容などについての質問が繰り出され、時折笑いを交えながら活発な意見交換がなされました。その後、来場者が小人数のグループになって本日の講演を振り返り議論を交えた後、芸術教育の評価の難しさなどについて講師とのディスカッションが行われました。
その後、本校 谷口幸典准教授の閉会の挨拶でシンポジウムを締めくくりました。

パネルディスカッションの様子
奈良女子大学の今岡学長や函館高専の下郡教授の講演からも伺えるように、工学教育に芸術を取り入れたSTEAM教育は、次世代を担う女性エンジニアの養成を考えるにあたり重要なバックボーンとなることが示された、非常に意義深いシンポジウムとなりました。